喘息疾患に対するカイロプラクティック・アプローチ


■喘息疾患に対するカイロプラクティック・アプローチ

【はじめに】
私は本来、カイロプラクティックは運動器疾患へのアプローチである、としか考えていなかった。内科的な疾患に関しては
「良くなったら儲け物」
程度に考えていた。それだけ運動器疾患への改善率に、手応えを感じていたのも事実だし、内科的疾患に対するカイロの再現性に、疑問を抱く結果しか感じられなかったのも事実である。と同時に、不明瞭なものを出来るだけ排除した上で、カイロの科学性を考えたいとも思って来た。
しかしその結果、カイロの可能性を制限してきたように感じる。可能性があるのと、再現性に乏しいと言う事とは別の話しである。つまり、そのような内科的疾患を抱えている患者さんがいるなら、カイロ的アプローチでチャレンジする価値があるのではないだろうか?と思い始めたのだ。
きっかけは単純である。3ヶ月になる我子が
「喘息と考えて良い」
と診断を受けたからである。これを改善させる方法を、年間通して考えて行きたい。まずは基本的な喘息に対する知識の整理から始めよう。

【喘息とは】
呼吸器系の疾患で、主に気管支に炎症を起こし、それにより呼吸時にヒューヒューやゼイゼイと言う“喘鳴”をしているのが特徴。
気管支粘膜が慢性的に過敏になっており、通常であれば反応しないようなちょっとした刺激に対して過敏に反応し、副交感神経を刺激して気管支を収縮させてしまう。気管支が収縮すると、管径が細くなり、喘鳴が発生し、ひどい時には呼吸困難となり、死亡する例もある。
これに対して交感神経が興奮すると、気管支は拡張する。つまり気管支は、交感神経と副交感神経のバランスによって状態を維持している。気管支喘息とは、その自律神経系のバランスが崩れ、副交感神経が優位に働いている状態と言える。
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このちょっとした刺激とは、外的侵入物によるアレルギー反応である場合が多い。アレルギー体質の人は、免疫グロブリンE(igE)と言う免疫物質の量が多い。
アレルゲンが侵入すると、リンパ球から抗体igEが生成される。igEは肥満細胞(ヒスタミン等の科学的伝達物質を貯蔵している細胞)に付着する。これを感作(後に減感作療法を説明する)と言う。この時点ではまだ症状は出ない。粘膜表面のマスト細胞に乗ったigEに、アレルゲンが結合すると、マスト細胞を刺激しヒスタミン等の科学的伝達物質を放出する。これが副交感神経を刺激し気管支を収縮させる。と同時に、ヒスタミンは毛細血管を広げる。すると血液中の水分が、気管支の粘膜内に漏れ出し、粘膜が腫れてくる。これが更に呼吸をしずらくする。

また、ヒスタミンの毛細血管拡張作用により、血液中の好酸球も漏れ出す。近年アレルギーには、この好酸球が関与していると言われている。好酸球とは白血球の1種で、外的侵入物を攻撃する働きをする。環境が整っていなかった昔は、寄生虫が多く居た為に、これを攻撃するのが好酸球の仕事であった。現代は、寄生虫などには滅多にお目にかかれないので、好酸球の矛先は、ダニや過剰な動物たんぱく質、花粉、添加物等に向けられた。これらが自己のたんぱく質とくっつくと、好酸球は自己たんぱく質も含めて攻撃してしまう。これが皮膚であったり、腸管であったり、鼻の粘膜であったりする。気管支喘息の場合、好酸球が気管支を攻撃してしまうのだ。
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しかしこれらIgE、マスト細胞、好酸球によるアレルギー反応だけで、気管支喘息を考える事は出来ない。IgEはある特定のアレルゲンに反応すると言う特性があるが、ダニに対する特異的IgE抗体を多く持っていたとしても、たばこの煙や、冷気、運動などによって喘息の発作は起こる。つまりアレルゲンが無くても、喘息発作は起こる訳で、アレルギー反応=発作と考える事は出来ないのである。その根底には、過敏な気管支と言う前提があり、気管支が副交感神経優位になっている事に目を向ける必要がある。
慢性的な気管支喘息を考えると、喘息発作そのものが、気管支を過敏にし、その過敏な気管支が、更なる喘息発作を引き起こすと言う悪循環が考えられている。アレルゲンの除去や、抗アレルギー剤などにより、過敏な気管支を刺激しないようにするのはもちろんだが、副交感神経を抑制し、交感神経を賦活する方法が一次的な治療と言えるだろう。

【クスリを考える】
*クスリに関しては、当然ながら担当医師と相談し、適切なものを、頻度を守って使われるようにして頂きたい。このページでは、一般的な患者が知る事の出来る程度の説明とする。よって当方では、クスリを薦める訳でも無く、クスリによる副作用等が発生したとしても、一切の責任を持たない。

ここまで考えると、気管支喘息に対する対処法がいくつか考えられる。
・副交感神経の抑制と交感神経の賦活による、気管支の拡張
・アレルゲンの除去とアレルギー反応の抑制
これらが喘息治療の柱と考えられる。

気管支拡張剤
>交感神経刺激剤

西洋医学では気管支が収縮し、呼吸が困難になると、気管支拡張剤を投与する。その最も代表的なものが、交感神経刺激剤である。投薬方法は薬品名によって様々だが、錠剤、ドライシロップ、シロップ、吸入液、エアゾル、皮下注射などがある。現在我子も超音波式のネブライザーにて、ベネトリンを吸入している。定期的に吸入する事で、気管支を拡張し、発作を抑え、悪循環サイクルを遮断しようとするものである。処方された使用回数等を守っていれば、大きな副作用は出ないようである。しかし、作用があれば、副作用があるのがクスリ。交感神経を刺激するのだから、心拍数が上昇したり、手が震える、血管が収縮するなどの反応が出る場合があるだろう。

>テオフィリン
交感神経刺激剤と並んで良く使われる気管支拡張剤である。投薬方法は飲み薬、座薬、注射となっている。我子はアルビナと言うテオフィリン系の座薬を使っている。これは非徐放剤と言い、すぐに薬剤が溶け、即効性があるが、持続性が無いのが特徴である。これに対して、徐放剤というのは、ゆっくりと薬剤が溶け、効果が現れるまでに時間がかかるが、持続性があるのが特徴である。

・予防薬
>インタイール(クロモグリク酸ナトリウム)
このクスリを知る事により、クスリに対するイメージが変わった。このクスリは水溶性が無いため、消化吸収されない。つまり飲んでも肺には届かないので、吸入して直接気管支に届かせる必要がある。当方の子供は吸入器を使用している。消化吸収されない訳だから、副作用がほとんど無いと言うのが特徴。効果としては、ヒスタミン等の炎症性科学伝達物質が出てくるのを抑制し、炎症症状を改善する。これにより、気管支が過敏な状態を改善し、発作が起こりにくい状態を作る事が出来る。クスリの役目を果した後は、痰と一緒に吐き出される。発作等に対して即効性がある訳ではないが、運動前に吸入する事で、運動によって誘発される喘息に対して予防効果が高い。気管支が過敏な状態を改善させる上で、とても優れたクスリと言えるだろう。

>ベクロメタゾン
これは吸入性のステロイドホルモン剤で、副作用が少なく予防効果が非常に高い。ステロイド剤であるので、抗炎症作用は非常に高い。このクスリにより、気管支が炎症を起して過敏になり、ちょとした刺激にも発作として反応してしまう、と言う悪循環を断つ事が出来る。インタールのように、抗アレルギー効果は無いが、湿疹や肌荒れに使われるステロイド軟膏が肌をキレイにしてくれるように、荒れた気管支をキレイにしてくれるクスリと考えて良いだろう。

他に経口の抗アレルギー剤、ステロイドホルモン剤、エアゾル式の副交感神経遮断剤などがある。

・減感作療法
これまで説明したクスリが、例えどんなに良い薬だとは言っても、アレルギーに対する根本的な治療法とは言えず、対処療法と言う事になる。それに対して減感作療法とは、アレルギー疾患の根本療法と言える。上記したようにアレルギーとは、アレルゲンに対応するIgEがその引金となっている。このIgEを減少させるか、又は他のアレルギー症状を起さない免疫グロブリンが、IgEより先にアレルゲンと結びつけば良いのである。

また、本来は寄生虫等に対する抗体としての役目を持っていたので、寄生虫を体内で飼えば、花粉に対応する特異性IgEよりも、寄生虫に対するIgEがマスト細胞の受容体と結びつき、花粉に対応するIgEがマスト細胞と結びつけなくなる。すると花粉症は出なくなる。実際にある花粉症の医師が、自分で寄生虫のタマゴを皮下注射したところ、花粉症は起こらなくなった。しかし、自然と寄生虫が身体から駆除されると、花粉症が再発するようになったそうだ。昔の下水道が整備されていなかった時代に花粉症が無かったのは、このような時代背景も考えられる。
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私は現在花粉症では無い。しかし、今後花粉と接触し続ける事で、花粉に対する特異性IgEの量が増え続け、それらがマスト細胞のIgE受容体と結びつき、ある一定の量を超えると、症状として表面化するかもしれない。

では減感作療法とはどのような治療法なのだろうか。簡単に言えばIgE抗体以外で、より速くアレルゲンと結びつきやすい抗体を生成し、IgEの活動を抑制する方法である。まずはアレルゲンの特定から始まる。様々なアレルゲンを用いて、生体反応を診るテストを行うのだ。その中でも、比較的簡単に行えるのが上皮テストだ。皮膚に引っかきキズをつけ、そこにアレルゲンの可能性のあるダニ等のエキスを垂らす。その後15分後に炎症反応が出れば、アレルゲンとして判断出きる。アレルゲンとなるものには様々なものが考えられるので、ダニエキスの上皮テストで陰性だとしても、花粉エキスで陽性となる事がある。
他には皮内テストと言って、エキスを皮下注射する方法がある。しかし、この皮内テストで気をつけなければならい事は、アナフィラキシー・ショックである。アレルギー反応が過剰に循環器、呼吸器系へ影響を与え、ひどい場合には死亡する場合もある。たまに「ハチに刺されて死亡した」と言うのがあるが、あれもアナフィラキシー・ショックである。
他には特定の物質を実際に吸入させて反応を診る方法や、血液中のIgEがどのアレルゲンと反応するかを調べるRAST法などがある。RAST法では、陽性(クラス2)、疑陽性(クラス1)、陰性(クラス0)として、このクラスが高いほど、アレルゲンの可能性が高いと考える。

アレルゲンが特定出来たらいよいよ治療が始まる。まずはアレルゲンエキスの濃度を薄めて皮内注射し、反応する最小濃度を求める。これを皮内反応閾値と言う。まずはこの皮内反応閾値の10倍濃度の薄いエキスの皮下注射から初めて、徐々に濃度や量を上げて行き、皮内反応閾値の10倍濃い濃度の0.3mlを注射して行く。どの程度の頻度で、どの程度の期間注射するかは、医師によって考え方に差がある。
皮下注射されたアレルゲンは、リンパ液からリンパ腺に運ばれたり、脾臓に運ばれる。そこにはIgGを作る細胞が多いので、アレルゲンに対するIgG抗体が作られる。このIgG抗体はIgE抗体よりもアレルゲンに結びつきやすい性質を持っているため、マスト細胞を刺激せず、アレルギー反応が抑制される。このようにアレルゲンとIgE抗体との反応を阻止することから、IgG阻止抗体と言う。
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口、喉、気管支、消化管等にはリンパ組織が集まっている。そこには身体を外敵から守る為に必要なIgEや、IgA抗体を作る細胞が多く、呼吸や食餌などで体内に入って来るアレルゲンに対しては、自然の状態ではIgG抗体は作られないのだ。

皮内注射によって自己のIgGを活性化させアレルギー反応をコントロールすると言う発想は、自己治療能力の活性化と考えられる。アレルギー治療と言う意味において、この減感作療法は非常に興味深い。詳細は参考文献をご覧頂きたい。

【カイロプラクティック・アプローチを考える】
父がカイロプラクターであり、母があはき師である以上、西洋医学だけに頼る訳には行かない。更なる改善を求めて父はカイロプラクティック・アプローチを考える。

・副交感神経の抑制と交感神経の賦活による、気管支の拡張
この分野はカイロプラクティック神経学の出番である。交感神経活性化を考える時に、即座に胸椎へのアプローチとなるのは非常に単純でありヒネリが無い。交感神経賦活のヒントは、古典的な鍛錬法の中に隠れているものである。それは寒風摩擦や水かぶり等の皮膚への刺激である。これは明かに皮膚の自律神経を刺激していると考えられる。寒風摩擦などはアトピー性皮膚炎などを併発している場合、なかなか行えないが、水かぶりなどは有効と思われる。それほど冷たい温度でなくても、あるていど冷たい感じが得られれば、自己体温調節機能が作動し、自律神経を刺激するだろう。

更にはアスリートが競技前に行う集中力の高めかたにもヒントがある。相撲取りが体を叩く仕草は皮膚からの交感神経刺激となり、精神が高揚する音楽など聞く行動などは聴覚からの交感神経刺激であり、大人しいスイマーが赤のゴーグルをつけるなどは視覚からの交感神経刺激である。更に嗅覚からはグレープフルーツの香りが交感神経を刺激するとの説があったり、胸式呼吸が交感神経を刺激するとの考えもある。いづれにしても胸椎だけが交感神経を刺激する訳ではなく、様々な感覚器を利用して交感神経を刺激する事が出来るのである。

しかし、これはあくまでも気管支拡張に関するアプローチであって、アレルギー性疾患に対する根本的施術とは言えない。気管支拡張剤と一緒で、交感神経への刺激が途絶えて、しばらくすればまた症状が再発するだろう。また、アレルギー反応は気管支のみで起こるのではなく、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎など他の箇所にて次々と反応を起すアレルギーマーチと言う状態になりやすい。つまりは根本的治療を考えるのであれば、アレルギー性疾患に対するアプローチを確立しなければならないのである。

・アレルゲンの除去とアレルギー反応の抑制

具体的に話しを進めよう。ますはアレルギーの原因となりやすいものにタンパク質がある。花粉やダニなどもタンパク質として体内に侵入し、それに対する免疫反応としてアレルギー抗体(IgE)が作られるのである。ではこのアレルゲンの侵入は気管支や皮膚のみであろうか。否。食餌としても取り込まれているのである。特に乳児の腸はタンパク質を摂ると大きな分子のまま直接腸壁を通り抜けて血液の中に入ってしまう。すると、免疫システムが異種タンパク質に対し、IgEを作り出してしまうのだ。早期のタンパク質を含んだ離乳食は毒となる。さらに母乳からのタンパク質摂取と言う問題も考えなくてはならない。ある報告では
「群馬大学小児科にいた 川辺志津子先生は食物アレルギーの乳児をかかえている母親に卵の白身を食べさせ30分後に母親の母乳のタンパク質を調べました。その結果母乳からタンパク質が検出され、しかもその母乳を飲んだ乳児の湿疹が悪化した」
とある。つまり母親の腸内にてタンパク質がアミノ酸にまで分解できずに、体内に吸収され、それが母乳を介して乳児に影響を与える可能性もあるのだ。母乳のみで育児している子供がアレルギー反応を示した場合、母親の腸内環境を整える必要がある。あるある大辞典(以下「あるある」様)では
「乳酸菌(GG)が悪玉菌の増殖を抑え、腸のバリア機能を高め、間接的にアレルギーを抑制し、免疫細胞を直接活性化し、アレルギーを制御する抗体を増やす事が、数々の研究で分かってきた」
となっている。この文章後半の内容を訳してみよう。
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《免疫細胞を直接活性化》とは、ヘルパーT細胞。その中でもTh1の活性化を指しているのだろう。Th1はキラーT細胞、NK細胞、マクロファージなどを活性化させる。Th2細胞はB細胞を活性化させて、抗体(IgE)を生産する。Th1,Th2ともTh0から分化されたものなので、Th1の数が増えると言う事は、抗体生成を抑制し免疫力を向上させる事になる。同様にサプレッサーT細胞というのがあり、これは抗体生成を抑制する働きがあると言われている。減感作療法でも、このサプレッサーT細胞が活性化される事でアレルギーが抑制される、と言う研究報告もある。乳酸菌でサプレッサーT細胞が活性化されるかどうかは不明である。今後の研究に注目する。

《アレルギーを制御する抗体を増やす》とあるが、これはTh1やサプレッサーT細胞の事ではないだろう。おそらくIgG抗体の事ではないかと思われる。
早い話が腸内環境を整備する事で、異種タンパク質侵入に対するIgE産出を抑制する事が出来るのである。私の知る限り日本では、タカナシ乳業が、プロバイオティクスの研究が盛んなフィンランドのValios社と提携して、GGを使ったヨーグルトを販売している。
http://www.l-gg.com/
ちなみに当家でも愛食している。

カイロプラクティック的にはどのように腸機能を賦活したら良いのだろうか。ここで伊澤先生の提唱する「カイロプラクティック腸神経学」の出番となるのだが、内容に関しては未だ不勉強の為詳細不明である。私なりに考えると・・・腸には独自の神経系システムが構築されている。これは自律性であり、本来自律神経は交感神経、副交感神経、腸神経と分類する必要がある。当然迷走神経が腸にまで届いてはいる。しかし腸の複雑な機能を考えた場合、数少ない迷走神経枝のみではコントロール出来ないだろうと考えるのは妥当である。やはり実験した者がいて、迷走神経枝を切り取ってしまった奴がいる。それでも腸は見事にその機能をまっとうした。腸には独自の脳があるのである。これが腸神経学だ。と考えるとカイロプラクティック神経学的発想の、副交感神経を賦活して腸機能を賦活するには微力過ぎるのである。直接的方法が第1に選択されるべきである。
直接的アプローチを考えると腹横筋と横隔膜が重要な要素となる。横隔膜と腹横筋による腹式呼吸によって腹腔内ポンプ作用が働き、これにより腸周辺血流の向上、蠕動運動への補助的役目が期待出来る。またこれら腹腔筋筋力低下により、横向結腸が下垂した状態では、構造的にも便秘となりやすい。便が腸内に長く滞在する事により、体内37度前後の状態では腐敗が進む。それにより悪玉菌が増殖するだろうし、通常であれば排泄させる異種タンパク質も吸収しようとしてしまうであろう。下腹だけがポコッと出ている方は要注意である(「あるある」様より)。

では基本から考えてみよう。まずは横隔膜の解剖である。

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下から見た図
起始:第1~3腰椎椎体、腰筋、腰方形筋、剣状突起、肋軟骨7~10、浮肋骨
停止:腱中心
神経:横隔神経(C3~5)

関節機能的に考えるのであれば、胸椎7~腰椎3、第7~12肋椎関節あたりの可動性改善が考えられる。古典的カイロプラクティックの見地に立てば、頚椎3~5の神経根圧迫に基づいてアジャストメント、と言うようにも考えられるだろう。しかし生粋のミキサーとしては運動療法を考える。それは単純な腹式呼吸のトレーニングである。吸気は横隔膜で理解出来るが、陸上では通常呼気は意識されない(水中に入ると1/6Gとなるので、解るのだが)。複式呼気での呼気は、通常の腹筋運動では鍛えられない腹横筋の収縮がメインとなる。この腹横筋のトレーニングを行う。

そして横隔膜の収縮に介在的に抵抗運動を加えるのである。このトレーニングにより、腹腔内の血流改善、腸の位置調整、蠕動運動のアシストとなり、腸の機能が活性化されるだろう。更に西原先生の提唱される鼻呼吸も合わせて行うと、アレルゲンの侵入防止として効果的であろう。

これら腹横筋、横隔膜を自分で効率良くトレーニングする方法は、アブフレックスを使用する方法である。これは方法にコツがある。
1,まずは呼気をめいイッパイ行う。この時に腹を出来るだけ凹ませるようにする。ここで横隔膜が弛緩し、腹横筋が収縮する。
2,ここでアブを軽いテンションで押しつける。
3,押しつけた状態から腹を凸ませるように吸気を行う。この状態では腹横筋が弛緩し、横隔膜が緊張する。
4、これを繰返す。
内蔵を介して行われるこのトレーニングにより、通常の腹式呼吸よりもよりハードに鍛える事が出来、腸内への内圧を高め、蠕動運動を誘発する事が出来るだろう。
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実際の施術を考えると、やはり腹部へのアプローチが有効と考えられる。下垂した横向結腸を上方へリフトしてあげるのだ。この直接的方法に関しては、
「丹力内蔵マニュプレーション」
を主催する桜井先生から
「丹力 臍下丹田健康学」 (葉文館出版)
と言う本を頂いた(ありがとうございます)。
そちらに詳細が書かれているので、詳しく知りたい方は本を購入する事をオススメする。
当方なりに考えた方法を簡単に説明すると、
1.仰臥位で腹部よりも骨盤側が高い状態にテーブルを傾斜させる。この時両膝を立て、腹筋群を弛緩させるようにする。
2.腹部の出ている箇所を頭方へ軽く押し上げる。
簡単に書けばこんな感じだが、そうそう簡単には行かないだろう。強引に押圧すれば、内部からの強い抵抗を感じられるはずである。その辺の駆け引きを感じて頂きたい。
次に体型的側面から内蔵下垂を考えると、腰椎前弯消失と骨盤前方トランズが関与している。イスに浅く腰掛けているような姿勢の事だ。これを矯正して行く。
3.腰椎前弯を作るモーションP時に抵抗を感じる椎体をアジャストメント。
4.伏臥位にて骨盤部下部にDロールを入れ、PSISあたりに接触してドロップ。

以下(以上も含めて)考察中
カイロ神経学的に考えれば腸は副交感神経の刺激により活性化される。

アレルギー反応による炎症が湿疹であったり、腸壁の侵食であったり、気管支の炎症であったりする。これに対する抵炎症作用を考えると、副腎に辿りつく。副腎皮質ホルモン。ステロイドである。つまりは副腎の活性化が必要になる。副腎は腎臓の上に乗っている内分泌器官である。腎臓は背面に位置するので、胸椎9~12周辺の変位が肋骨を介して副腎にストレスを与える可能性がある。腰椎過前弯などが腎臓機能に影響を与えてる症例は、臨床的に珍しくない。

副腎皮質ホルモンを分泌するには、下垂体前葉からの副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)が必要となる。

参考文献
最新医学別冊 最新医学別冊 新しい診断と治療のABC2 呼吸器2 喘息

健康ライブラリー 小児ぜんそくの最新治療―積極的ゼロレベル作戦とは (健康ライブラリー)
(山本先生の本は他にも1冊)
健康ライブラリー 減感作療法でせんそくは治る
名医のわかりやすいぜんそく (同文名医シリーズ)

西原先生著 免疫病は恐くない
「あるある」様 「花粉症」「乳酸菌」
マイケル・D・ガーション セカンドブレイン―腸にも脳がある!