カイロプラクターとしての一歩

下の本文を読む前に合言葉を唱えましょう。
「ケガは自分持ち」
解ってると思うけど。

■カイロプラクターとしての一歩

治療させてもらえるようになると、誰でもカベにぶつかる。私の場合、最初の大きなカベが頚椎のマニュプレーションであった。
学校で習うのは椎弓根プッシュと言う技法。竹谷内先生訳のカイロプラクティック・テクニックにもS.C.Pは椎間関節で表記されていた。固定手やトークの違いなどで、マスター・サービカル・ブレイクやロータリー・ブレイクなどの種類はあったが、S.C.Pは椎間関節のみ。
ところが、修行先では第2、第3の技をフツーに使っていた。第2の技。それが棘突起プッシュ。これはどのテクニック本にも載っていない。(現在の最新書は知らないけど) 当然私は出来なかった。何度チャレンジしても出来なかったのである。

参考書籍:

カイロプラクティック・ノート―カイロプラクティック・テクニック修得のために〈1〉 

初めて学ぶカイロプラクティックスキル―基本原則からマニピュレーションスキルまで

IPPO2
通常上図のようなセットアップをした場合、矯正される椎骨のリスティングはPRである。顔が向いた方向に追従するような形で左の椎間関節にスラストを加える。
ところが、棘突起プッシュは上図のようなセットアップを行いながらも、PLを矯正するのである。つまりセットアップで行われた回旋と逆方向に回旋力を与えて矯正するのだ。実はこれが非常に難しかった。
椎弓根プッシュでコンタクトする時はINからEX方向へ遊びを取る。つまりセットアップする方向と同じだ。ところが、棘突起プッシュでコンタクトするときは、EXからIN方向へ遊びを取り、その遊びを緩めないようにしながら逆方向へセットアップするのだ。なんか文章にしてしまうと簡単なようだが、実際は難しい。繰返す練習の中で、IHの重要性を知った。ようは椎弓根プッシュの時にCHもセットアップに参加するクセがついていたのだ。だから棘突起プッシュでコンタクト時に、せっかくEXからIN方向へ遊びを取っても、セットアップ時にCHが回旋動作に参加してしまい、それがINからEX方向への動きとなり、皮膚、関節の遊びが出てしまっていたのだ。
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S.C.Pは棘突起左面となる。

片手でのセットアップを繰返し練習した。すると、ある日不器用ながらも成功した。初めの頃の棘突起プッシュはガチガチの固定、接触で患者さんは痛かったことだろう。でもこの棘突起プッシュが出来た時に、初めてカイロプラクターになったような気がした。
1度出来ると嬉しいもので、全てのアジャストメントを棘突起プッシュで行った。気が付いてみると最も得意とするテクニックとなった。

「どちらを接触ポイントとしても、同じ矯正じゃないか?」
と思っている方はしっかりと勉強しよう(笑)。同じPLを矯正するのでも、椎弓根プッシュと棘突起プッシュでは全く違う。側弯凸側からアジャストの法則。この基本を守るだけで、とれなかった疾患もとれるようになる。

この後、シビレに対する治療でまたカベにぶつかった。シビレのある側からはアジャストしてはならない法則。この時覚えた第3の技。そのテクニックが棘突起プルだった。これも教科書には載っていないテクニックだ。そして、このプルは万能に使えた。そのため、棘突起プッシュは使わなくなっていった。

最近、基本に立ち返り棘突起プッシュが必要なケースではしっかりと使うようにした。すると・・・術後の反応が良いではないか!シビレと言う問題がなれば、棘突起プッシュと椎弓根プッシュで十分対応出来る。万能なものは対処出来るだけであって、決っしてそれ専用って訳じゃないって事なのだ。

側弯凸側からアジャストの法則
シビレのある側からはアジャストしてはならない法則

P○S変位には棘突起プッシュ。
P○I変位には椎弓根プッシュ。
やはり基本は大切だ。

・私のもっている資料の中で、この棘突起プッシュを解説する書籍は、尊敬する大場D.C著の「カイロプラクティックの基礎理論と実技 2」に類似した技法として紹介されているものだけだ。個人的には私の師匠が中川D.Cがロスに在住している時に訪問し、テクニックの講習を受け、その時に撮影したビデオに母指接触でC2の棘突起プッシュを行っていたのを見た。あの人に出来ないテクニックは無いのかもしれない。
・2002年8月25日にこの棘突起プッシュに関する勉強会を行ったのだが、当方の指導力不足により伝えきれなかった事を反省している。次回は頚椎だけに絞っての勉強会とし、このテクニックを伝えて行きたいと思っている。
最近 「カイロプラクティックスキル」(医道の日本社 大谷泰明D.C監訳) に棘突起プッシュが記載されているのを知った。この本を参考にする場合、写真では母指が強く接触されていることに注意。母指が接触されていると、アジャストメントの力がそちらに向かってしまう場合がある。あくまでも指先からDIP,PIPにかけてのC,Pのみを接触させるように意識し、母指は触れる程度にするとこのテクニックを習得しやすい。こちらは第2指をコンタクトする方法。
・更に中川D.C.のテクニックビデオに棘突起母指コンタクトの施術が解説されている。だが問題は解説。私の尊敬する先生ではあるが、ルシュカについては触れていない。棘突起をSCPとした椎間関節へのアプローチと解釈しました。だが上手である。そして矯正音はルシュカ系の音が聞こえる。おそらくキャビテーションが発生したのはルシュカであろう。。

■2歩目
file_7 己が蒔いたタネだとは思うが、各方面からプルについて聞かれる。どうやら上で万能なテクニックと書いてしまったのが問題らしい。これもあまり本として出回っていないので、興味があるのだろう。棘突起プッシュ、椎弓根プッシュは基本的手技としてとても重要で、特殊な場合を除いて、殆どはこの2種テクニックで事が足りる。それ以外のイレギュラーなケースに、どうしてもマニュプレートしたい場合に使われるのが、棘突起プルである。
左図をみて頂きたい。

Aが棘突起プッシュである。Bは椎弓根プッシュ。凸側からスラストを加えるのが基本なので、このように同じリスティングでも違う手法を使う。通常の学校は、頚椎ではBのテクニックしか教えない。と言うか出来ない指導者も大勢いるのだろう。だが、凹側からBを行うと、より凹弯を強めてしまう可能性があるのだ。これは状態によって手技を選択出来ていない。仕方ない。教わっていないものは出来ない。だが、これはではカイロプラクターとは呼べない。そこで棘突起プッシュが必要となる。

では棘突起プルの必要性は?

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厄介な頚椎
右凸弯で右側に痛みやシビレがあり、右側屈できず、各検査からC5PRがサブラクセイションであった場合(左図)を想定すると・・・。
痛みが左側なら棘突起プッシュとなるし、弯曲が左凸なら椎弓根プッシュとなる。だが、この場合はどちらの手技も行えない。プルを使わないと考えると、右凸弯が強まることを覚悟して左からの椎弓根プッシュを使う。疼痛やシビレが強い場合などは、あえてこの手技を選択する事も少なくない。つまり疼痛回避をアシストするのである。そして疼痛、シビレが治まってきたら、右凸弯への施術を行う。
hwadjsppull3 これが慢性的な状態では、プルを使う場合が多い。つまり左側から回りこんでC5棘突起を引っ掛けて、引くスラストを行うのだ。これにより右凸弯を強める事なく、PRを矯正する事が出来る。万能と表現したのは、棘突起プルには大きく2種類の使いかたが出来るからだ。それは
・プル跳ね上げ
・プル回旋
と言える。跳ね上げるように行うテクニックは棘突起プッシュ系に近く、凸側からの押圧要素を意識したものと言える。これに対して、ペットボトルのフタを回すように回旋するテクニックは、凸弯よりも、単に回旋を意識したテクニックと言える。

「厄介な頚椎」で右側屈がそれほど可動制限受けていなければ、跳ね上げ系のテクニックとなり、右側屈が強く制限されていた場合、回旋系の手技となる(注必ずコレと言うものでは無い。当然のごとく、その対象者によって全く違うアプローチになる事は言うまでも無い。)。

別に棘突起プッシュや椎弓根プッシュでも、押す系や回旋系などに使い分ける事は可能である。棘突起プルのみが持った専売特許では無い。
しかし、棘突起プルの特徴としては、棘突起と言う長いテコを使様する為に、強い力が加えられる点にある。と言う事は、少ない力で矯正出来ると言うことになる。更に、セットアップする方向と直接手の方向が一緒だと言う事を考えると、椎弓根プッシュをマスターした者にとっては、棘突起プッシュを覚えるより簡単である。
特に下部頚椎は大きい筋が椎弓回りを覆っている。正確に接触し易いやすいのは、棘突起となる。まして胸椎1番などは第1肋骨で保護されている。横突起接触には、大きな筋が邪魔だし、棘突起コンタクトが強い矯正力を与えてくれる。

実際のテクニックとしては、跳ね上げは使えない場合がある。それは下から上へのスラストになるので、スラストに対して上からの固定要素が無ければ、患者さんの身体が浮いてしまうような衝撃が加わるからだ。実際に軽い女性などでは接触側の肩が少し浮く場合が多い。よって実際には、回旋系の要素が強いテクニックとなる。それでも凹側から押す要素が無く、凸側から押す(引く)要素のテクニックと言えるだろう。

・最近の反省
勉強会で気づいた事だが、プルをあまり意識して行った事が無かった(爆)。突如プルを説明する場面となったが、上手く説明出来なかった事に反省。しかし、基本は両プッシュ。これが出来れば大抵対応出きると思う。そちらに関しては、スタンスから、腰の位置、肘の角度、IHの固定方法まで細かくまとめてある。
近々プルに関してもまとめるつもりである。意識してみるとプッシュ系とは違う方法でマニュプレートを行っていた!師匠の影響を強く受けたマニュプレート・スタイルだと思った。鏡で見るとそっくりである。体型も(笑)。まとまり次第、棘突起プッシュ、棘突起プルと分けて勉強会実施を予定している。興味のある方はご連絡下さい。
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