<第1回目の実験内容>
■あえてカイロプラクティックを否定する
以下は私自身がメルマガにてカイロプラクティックを否定した文章だ。なんでこんなことやろうと思ったかと言うと、カイロプラクターって奴がとって
も井の中の蛙的なのが多いから。 一般的には以下のような考えが殆どだし、そう考えるのが普通。でもそれが見え
なくなってしまっているカイロプラクター達へ、今一度自分の治療を見つめ直す
きっかけとなってくれれば良いと思って書いた。(自己反省も含め)
カ イロは未解明な部分が多く、その効果についてもまだまだ突っ込まれる余地が沢
山あるのだと言う事も認識してもらいたい。そして一番解ってもらいたいの
は治療家が治すのではなく、患者さん自身の自己治癒力で治ると言う事実。我々 はその手助けをしているに過ぎないと言う現実を頭に叩き込んでもらいたい。
これは医者も同じ。解っていると思うけど、あんたらが治したんじゃないでしょ
う。確かに縫ったり切ったり取り除いたりしたかもしれないけど、そこからの回
復ってのは患者さんの力でしょ。自分の力だと勘違いしないように!えらそうなんだよ。(医者全員に言っているのでは無い。ある特定の人にね。)
だからあえて否定してみる。
サブラクセイションについて
カイロでは
「サブラクセイション化した背骨や骨盤が“自己治癒能力”を妨げている“原因”ではないかと考え、そのサブラクセイションをアジャストメントする事で自己治癒能力が正常に働き、カラダを治してくれる」
と考えるが、このサブラクセイション自体とても曖昧なものとしか言い様が無い。
サブラクセイションの定義として、解剖学的、動力学的、生理学的変調となっているが、触診のみでそれを判断すること自体が不可能と言える。
解剖学的にはレントゲン撮影などをして第3者的に診断を下すべきだし、動力学的に失調している状態を徒手による触診のみで触知する事は不可能である。また
生理学的に皮膚表面温度の差や圧痛などを主張するが、これも術者の加減により術前後でコントロールすることが可能で、圧痛計などでしっかりと術前後を測定
して評価すべきである。
カイロプラクターはこれらを熟練された触診能力によって知ることが出来ると言うが、私(aneero)の経験上からも術者によって同じ患者の同じ椎骨のリスティ
ングに違いが生じると言う事実がある。カイロプラクターの主張する“熟練され た触診能力”は自己の感覚によるところが大きく、とても曖昧で、これは
「カイロ学生がリスティングをPLと診断したが、先生がPRと診断を下すとそれに同調
してしまう」
ケースが良い例と言える。 医療と言い張るには科学性が必要となるが、サブラクセイションの診断自体が再現性に乏しいことを考えるとその治療自体が非科学的と言わざるを得ない。
また100歩譲って“熟練された触診能力”が優れているとして、椎骨の可動性減少(動力学的失調)が触知できたとしても、メジャーサブラクセイションとマ
イナーサブラクセイションの違いについては感によるところが大きく、これも再現性があるとは言えない。
よってカイロプラクティックは非科学的であり、まやかしそのもので、とても医療とは呼べない。
アジャストメントについて
サブラクセイションに対して、ズレた関節を元の位置へ戻すと言う考えからカイ
ロ独特のアジャストメントが行われてきた。そしてアジャストメントは矯正音をもって成功とされていたのは事実で、現在でも現場ではそのように認識している術者も多いはずだ。
しかしこのアジャストメント自体とても危険なものであり、カイロでの事故はこの“鳴るまで”の強引なアジャストメントによって発生している。
aneeroも実際にレントゲン像にて術前後を確認したが、その殆どは狙った椎骨のズレには変化がなく、古典的考え方であるズレを戻すと言う理論は成り立たない。 (長期間の施術により頚椎前弯回復などの現象はレントゲンにて確認したが、1
回のアジャストメントで術前後の変化が確認できるレントゲン写真は殆ど無かっ
た。)
また、近年“椎骨の可動性回復を目的としたアジャストメント”が言われている。
これは矯正音をもって成功とはぜずに、関節の可動性回復をもって成功とするも のである。しかし、上に書いたようにこの椎骨の可動性自体が再現性に乏しく、 信憑性にかけるものであるので、この理論そのものが曖昧なものと言える。
強引なアジャストメントを実施することによって関節捻挫などが発生する可能性もがあるが、禁忌といわれている脊柱管狭窄症、椎骨動脈の動脈硬化症・後縦靭帯硬化症などに対する施術によって事故が発生する場合がある。これら危険因子をもっているかどうかを、検査をしないでそのままアジャストメントが行われているのが現実だ。
よってアジャストメントはとても危険で、医療行為とは言いがたい。
触診について
カイロプラクターは椎骨の可動方向について勉強していると言う。頚椎〜腰椎、
骨盤の回旋や側屈などについて頭に叩き込んであると。
さて、触診で問題になるのが椎骨の変形だ。これを触診で知ることは不可能と言える。実際に例を挙げるなら、我々が腰椎を触診した場合、棘突起と乳突起、横突起を触診する。しかし椎骨で問題となる変形は椎間板狭小化と椎体の骨棘、椎間関節の変形などである。物理的にこの変形を触る事は出来ない。変形した椎骨は教科書通りの動きをすることは無く、各動作において複雑な動きをする。
カイロプラクターの触診だけではこの変形を見分けることは出来ない。その変形 した椎骨に教科書どおりの外的衝撃力(アジャストメント)を与える事はとても
危険であり、症状を悪化させる可能性が非常に高い。この変形を診るには最低で
もレントゲンが必要となる。
また、後縦靭帯、腸腰靭帯、そして椎骨動脈のカルシフィケィション、椎体の半融合などは触診では判断出来ない。この中でも意外かもしれないが、椎骨動脈の
カルシフィケィションは頚椎AP像で頻繁に診ることが出来る。この状態で強い
頚椎アジャストメントを行うと血管が損傷し、脳卒中を起す可能性がある。
カイロプラクティックは危険である。
この内容をどう思うか。
■第1回実験集会結果報告
期日:2003.5.3
場所:アドバンスカイロプラクティックオフィス
参加者:19名
【実験内容】
![]() *この図は「カイロプラクター10名」となっていますが、実際には18名の検者によって行われました。 |
| 1人の被験者に対して、18人の検者が頚椎2番のリスティングを出す。リスティングはP.Gを用いて、フィクセーションの有無に関わらず、変位の状態を ・PL、PR、PLI、PLS、PRI、PRS の6種のいづれかに当てはめる。これを全員行い集計する。 |
【この実験によって解る事】
・同じ被験者に対する10人のリスティング一致率が低ければ、リスティングそのものの信頼性が低くなる。
【実験結果】
| PL | PLI | PLS | PR | PRI | PRS | |
| A氏 | 3 | - | 1 | 1 | 4 | 8 |
| B氏 | 5 | - | - | 2 | 4 | 6 |
| C氏 | 5 | 1 | - | 3 | 4 | 4 |
| D氏 | 3 | 3 | 5 | 2 | 1 | 3 |
| E氏 | 3 | 4 | 2 | 3 | 3 | 2 |
| F氏 | 1 | 3 | 1 | 3 | - | 9 |
| G氏 | - | - | 8 | 2 | 1 | 5 |
| H氏 | 4 | 3 | 2 | 2 | 2 | 4 |
| I氏 | - | 3 | - | 4 | 3 | 7 |
| J氏 | 4 | 6 | 3 | 2 | 1 | 1 |
| K氏 | 2 | - | 4 | 3 | 4 | 3 |
| L氏 | 5 | 2 | 2 | 3 | 1 | 4 |
| M氏 | 1 | 3 | 4 | 2 | 4 | 2 |
| N氏 | 3 | 1 | 4 | 1 | 2 | 5 |
| O氏 | 1 | 2 | - | 6 | 2 | 5 |
| P氏 | 5 | 1 | 2 | 1 | 2 | 6 |
| Q氏 | 2 | 1 | 4 | 3 | 2 | 4 |
| R氏 | 2 | 3 | 2 | 1 | 3 | 6 |
| S氏 | 2 | 2 | 3 | 3 | 1 | 5 |
| 合計 | 51 | 38 | 47 | 48 | 44 | 89 |
*リスティングを知らない者もいたので、1名に対してリスティングの総数(横計)は16〜17となっている。
【考察】
予想ではPL群または、PR群のように回旋を重視したリスティングに分かれるか、PLI・PRS群または、PRI・PLS群のように側屈を重視したリスティングに分かれるものと予想していた。しかし、結果は上記表の示す通りである。
この実験結果のみから判断すると、「リスティングは当てにならない」と言う事が言える。触診のみでは、権威のある治療家がPRと出しても、それは100%信用するに値しない。つまりリスティングに再現性は無い。再現性の無いものはいくら経験を積んでも身にならない。これはリスティングを取る練習しても意味が無いと言う事になるし、リスティングに対して、それを改善させる方向へマニュプレーションを行っても意味が無いと言う事になる。
この実験にはカイロ師以外の先生方も参加して下さったので、リスティングを初めて経験した者も多く居る。また、続けて18名もの検者に触診されるのであるから、1番目と18番目では、椎骨の状態が変化している可能性は多いにある。これらの事がリスティングを不正確なものとする可能性は多いにある。だが、私的には経験が長かろうが、浅かろうが、丸いモノは丸く感じなければならないと思う。強引であったとしても、リスティングを出したのだ。その結果が上記のようなものであると言う事実は、しっかりと認めなくてはならない。
この実験で最も目につくのが、PRSの圧倒的な多さだ。これはC2PRSのリスティングを持つ者が多いと言う事では無く、単純に利き手優位による偏った触診が原因と考えられる。また、正反対のリスティングとも言えるPLIが少ないのも興味深い。この事を踏まえて考えると、臨床上では左指の触診に意識を向けるようにする必要があると言える。また、日常的に左手を多く使うようにし、左指の感覚を養う必要があるだろう。
薄青く示したセルはaneeroが出したリスティングである。やはりPRSの多さが目立つ結果となった。しかし、PL群、PR群でみると比較的平均している事が分かる。私は右で箸を持ち、左でペンを持つ。この辺のクセが良かったのかもしれない。それでも、PRSが多い。ひいき目に見れば、PETTIBON等のレントゲン解析によるAP像の歪みで、最も多いパターンが、右利きの歪みである。この中でもA図のパターンが圧倒的に多いらしい。

これを考えると、今回の実験でもPRSのリスティングが多くなるのは納得の行く話となるが、A氏やF氏の所を見ても分かるように、検者総数からの割合で言えば、たったの5割程度だ。つまりPRSで無い可能性も5割あると言う事になる。
【次回実験】
次回は同じ環境で経験してきた施術家を集めて実験してみたい。これによりリスティング結果がどのようになるか。この実験でリスティングの一致率が高ければ、経験による触診能力の向上、または、同一の環境がリスティングの一致率に影響を与える可能性を示唆している事になる。つまり今回の結果を「育って来た環境が違うから〜リスティングは否めない〜」とする事が出来る。
参考:「カイロプラクティックの基礎理論と実技」大場DC著
step chiropractic