痛み再考1/すぐ取れる痛みとしばらく続く痛み

現実的に日本のカイロプラクターは多くの痛みに直面しているが、改めて痛みについて考えてみるとその扱いの難しさを思い知らされる。
難しさの一つ目として、痛みは全くの主観なので、人によって表現方法が違うと言う点だ。
「ズキズキ」や「ジンジン」「ズーン」「ガンガン」「シクシク」「ズキンズキン」
などなど痛みの表現は数え上げるときりが無い。

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はだしのゲンの問題シーンを解剖学的に考えてみた

■日本刀で切れるのか?

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はだしのゲンが学校で回覧できないだの、できるようになっただの、その辺の議論に関してはあえて口を閉ざすコトとし、カイロ師の端くれとしては、問題のシーンが可能なのかどうかを論じて行きたいと思います。

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カイロ的MMTの基本を検証してみる

MMTを科学してみようかなⅡ

私のやっている事は単純だ。この世界に入って最初の頃に頂いた疑問を考えようってだけの話し。
AK-MMTに関しては、「内部モデル」と「ユーザーイリュージョン」をきっかけに自分なりの決着をつけたつもりだ。しかしまだまだ完全に出来あがった訳じゃない。真実は霧の彼方にあり、そこに辿りつくまでの道のりには、いくつもの壁が立ちはだかっている。霧を払うか否かは自分次第である。
参考:■仕方なく考える神経学(筋紡錘にまつわるaneeroなりの考え)
そこで別の角度から、MMT検査は何を診ているのかを考えてみたい。もったいぶらない書き方で行こう。
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喘息疾患に対するカイロプラクティック・アプローチ

■喘息疾患に対するカイロプラクティック・アプローチ

【はじめに】
私は本来、カイロプラクティックは運動器疾患へのアプローチである、としか考えていなかった。内科的な疾患に関しては
「良くなったら儲け物」
程度に考えていた。それだけ運動器疾患への改善率に、手応えを感じていたのも事実だし、内科的疾患に対するカイロの再現性に、疑問を抱く結果しか感じられなかったのも事実である。と同時に、不明瞭なものを出来るだけ排除した上で、カイロの科学性を考えたいとも思って来た。
しかしその結果、カイロの可能性を制限してきたように感じる。可能性があるのと、再現性に乏しいと言う事とは別の話しである。つまり、そのような内科的疾患を抱えている患者さんがいるなら、カイロ的アプローチでチャレンジする価値があるのではないだろうか?と思い始めたのだ。
きっかけは単純である。3ヶ月になる我子が
「喘息と考えて良い」
と診断を受けたからである。これを改善させる方法を、年間通して考えて行きたい。まずは基本的な喘息に対する知識の整理から始めよう。

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圧痛を考える

圧痛を考える
著者:aneero

【はじめに】
近年カイロプラクティックの効果に関して、大きな変革を向えているように思う。創始では解剖学的にサブラクセイションを考えた時代があり、アメリカでは早くから検査方法として、レントゲン像による診断を導入し、カイロプラクティック教育の中にもレントゲン学の占める割合が大きかった。その後生体力学的、動力学的な見地からサブラクセイションを考えた時代に移り変わり、モーションパルペーションなどの可動性を重視した検査方法が持てはやされた。その際、アメリカでモーションパルペーションの概念、技術が遅れたのは、レントゲンに頼りすぎたためだ、とも言われた。
そして現在は神経学である。最新の考えでは、カイロプラクティックアプローチは脳の機能を賦活し、脳の機能が活性化される事によって身体の機能を正常化させると考え、従来カイロプラクティックで扱う疾患だけでなく、様々な難治疾患への可能性をも提示している。

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筋硬度に関する研究

筋硬度に関する研究

著者:aneero
*一応著作権ってものが発生するらしい。せこいようですが、引用する場合は当方の了解が必要となります。

【はじめに】
<筋硬度に関して>
我々は臨床的に「筋肉が硬い」と表現するが、それがどの程度硬いものなのかを明確に出来ていないのが現状である。つまりその筋・筋膜への押圧に対する硬さとは、術者の感覚のみで表現されるものであり、再評価や再現性が乏しく、患者の身体状態を表現する方法としては適切では無いと言える。にも関わらず、単に硬いとされる筋・筋膜を弛緩させるための施術が日常的に行われているのも事実である。
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モーション・パルペーションの呪縛

■植え付けられた画像
カイロプラクティックの発展の中でも、モーション・パルペーションの貢献度は非常に大きいと思う。まだ一般的でない頃に、その考えを輸入してくれた先生方の苦労と言うのは計り知れないものがある。私自身現在でもモーション・パルペーションにて椎骨の可動性を触診しているし、フィクセーション解除にカイロプラクティック・アジャストメントの意義を求めている術者は多いだろう。しかし、我々には誤った概念がある。と少なくとも私はそう思っている。

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握力

握力

握力計が我院に来ると、やっぱり自分の握力を計ってみたくなるものだ。これはどうしょうも無い欲望だ。

右60キロの左62キロ(2004.4)。。。
うっそーん。そんなに低いのかよ。
と言う事で握力強化を勉強する。筋力テストで代表的なのが握力であり、掌握出力を勉強するには、自分自身ある程度まで握力トレを追い込んだほうがより理解しやすいだろうとも思う。だから筋力を勉強する為にも、その象徴であり代表である握力を向上させてみよう。
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アクチベーターってどうよ?2

■アクチベーターってどうよ?2

【はじめに】
私が所持しているのは、今や古いタイプの「Ⅰ」である。誰もがこう信じている。この機械で得られるスラスト力は、調整ネジ部によって一定に保たれ、スラスト力の強弱はそのネジ部を調整する事によって得られていると。本当にそうなんだろうか。当方が行った実験の結果、一見誰が扱っても同様の刺激が加えられるように思えるが、実際には術者による差異が発生する要素が否めない。また、アクチベーターによる刺激量は、徒手によるものとどう違うのかを考えてみたい。
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アクチベーターってどうよ?

注意:

デジタルフォースゲージに不具合があり、計測が不正確です。アナログメーターで計測し直した結果は

で御覧ください。

■アクチベーターってどうよ?

【はじめに】
私が所持しているのは、今や古いタイプの「Ⅰ」である。誰もがこう信じている。この機械で得られるスラスト力は、調整ネジ部によって一定に保たれ、スラスト力の強弱はそのネジ部を調整する事によって得られていると。本当にそうなんだろうか。当方が行った実験の結果、一見誰が扱っても同様の刺激が加えられるように思えるが、実際には術者による差異が発生する要素が否めない。また、アクチベーターによる刺激量は、徒手によるものとどう違うのかを考えてみたい。
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あえてカイロプラクティックを否定する

<第1回目の実験内容>

■あえてカイロプラクティックを否定する
以下は私自身がメルマガにてカイロプラクティックを否定した文章だ。なんでこんなことやろうと思ったかと言うと、カイロプラクターって奴がとっても井の中の蛙的なのが多いから。 一般的には以下のような考えが殆どだし、そう考えるのが普通。でもそれが見えなくなってしまっているカイロプラクター達へ、今一度自分の治療を見つめ直すきっかけとなってくれれば良いと思って書いた。(自己反省も含め)

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仕方なく考える神経学

■仕方なく考える神経学(筋紡錘にまつわるaneeroなりの考え)

まずは簡易神経配線図(クリック)を出しましょう。この配線図も手製なので、間違っている箇所が多々あるかと思います。気づいた方はそっと教えて下さい(笑)。

【錐体路って?】
基本的には随意運動に関係する経路。運動野内運動ニューロン軸索から発し,内包(線条体と視床の間)を通り,延髄腹側で錐体を形成する8割の線維はここで交叉し,外側皮質脊髄路を下行し脊髄内運動ニューロンに結合する. “仕方なく考える神経学” の続きを読む

カイロプラクターとしての一歩

下の本文を読む前に合言葉を唱えましょう。
「ケガは自分持ち」
解ってると思うけど。

■カイロプラクターとしての一歩

治療させてもらえるようになると、誰でもカベにぶつかる。私の場合、最初の大きなカベが頚椎のマニュプレーションであった。
学校で習うのは椎弓根プッシュと言う技法。竹谷内先生訳のカイロプラクティック・テクニックにもS.C.Pは椎間関節で表記されていた。固定手やトークの違いなどで、マスター・サービカル・ブレイクやロータリー・ブレイクなどの種類はあったが、S.C.Pは椎間関節のみ。
ところが、修行先では第2、第3の技をフツーに使っていた。第2の技。それが棘突起プッシュ。これはどのテクニック本にも載っていない。(現在の最新書は知らないけど) 当然私は出来なかった。何度チャレンジしても出来なかったのである。

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仙腸関節研究

加筆、修正しました。

■仙腸関節研究

ここのページはメルマガに連載した内容をまとめたものです。
「はやくHPにアップしろ!」
との好意的(?)なご意見が多かったネタなので、面倒でしたがまとめてあげました。
バイオメカ的に証明されている箇所は、丁寧な文体で書かれています。それ以外はぶっきらぼうな文体。

ここまでやったのですから、後は自分で考えて欲しいのが本音です。つまり・・・
「質問は控えてくれ」
って事です。
それからクレームも受付終了です。あくまで仮説の部分が多いので、それを否定したいのなら勝手にどうぞ。

またしても、我バイブルをフルに参考にさせてもらった。しっかりと宣伝してるし、私のページを見て購入した者も数人いるので、出版社の方が見ていたら許してもらいたい。
カパンディ 関節の生理学 (3)
I.A.KAPANDJI
荻島 秀男監訳
嶋田 智明訳
医歯薬出版株式会社

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タカラDM1000のヘッドピース改造

比較的簡単な作業ですが、自己による改造にはメーカーからの保証が得られなくなる点をよくお考えになってから行って下さい。またこの作業をマネたことによる不備が発生しても当方に対する文句は一切受けつけません。自己の責任において作業可否の判断して下さい。

このベッドは日本製のトムソンテーブルで、昔っからある奴。

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NC[new chiropractic]と言う考え

●NC[new chiropractic]と言う考え

私はこのNCを基本理論としている。もとは都内近郊で5店舗の接骨院を経営する柔整師兼カイロプラクターが研究、開発した理論だ。

彼が経営する接骨院には必ず施術用のトムソン・テーブル数台が設置されており、来院する患者さんの80%近くはカイロプラクティックの施術を受けていた。

そう、1店舗につき毎日80人前後の患者さんがこの New Chiropractic 理論のもとに施術されていたのだ。彼の治療院は現在でも都内に増えつづけている。

理論的に問題のあるものであれば、このような成功はありえない。日本国内で毎日これだけのカイロプラクティック施術が行われている治療院はあるのだろうか?またこのような景気低迷の中、現在も新たに分院が作られていると言う事実は、この理論がいかに患者さんに支持されているかの証明とも言える。

NCは13のユニットに構成されている。私が直接教えてもらったのは10のユニットでれらの一部はMEMBER’S ROOMにて公開していた。これらのユニットの単体及び組み合わせでも施術は充分に行えるが、より即効的に施術が行えるように、以下の教わっていないユニットを独学で研究し、13のユニットを構築した。

ユニット名 直接教授 自己構築
頚椎1番
頚椎2番
頚椎5番
,頚椎7番
胸椎1番
胸椎2番
胸椎12番
腰椎3番
腰椎5番
骨盤4種

これらは分節的なサブラクセイションによる、身体全体の歪みへの影響について考える理論である。基本的には骨盤と頚椎2番を施術箇所として、それ以外の部分は自己治癒による回復に委ねる。それでも改善されない場合、それ以外のユニットに注目して施術するスタイルだ。これらはマニュアルメディスンで考える非自然体機能障害に近い。つまり分節間にフィクセーションが発生した状態である。

■ベーシック ディストーション【R+の発生機序を考える】
仮定
1,右腸骨がPIしたとする。

2,仙骨底が右下がりとなる。
理由
① 右腸骨PIによって、大腿骨頭が上方に引き上げられる。
② 右腸骨PIによって、相対的に仙骨右側がAIすることになる。
③ 右腸骨PIによって、右仙腸靭帯が弛緩するため。

3,L5がPLする。
理由
① 右腸骨PIによって、右腸腰靭帯が緊張しL4,5右横突起が後方に引かれる。
② 仙骨底が右下がりによって、水平線と隙間が出来る。基底面を水平位に保持しようとするためにL5椎体の前面が厚く、後面が薄い構造をその隙間にあてがうようにPL変位する。
③ 仙骨底が右下がりによって、脊柱は右に倒れようとする。人間は両目を水平位に保とうとするので、左腰方形筋を収縮させる。これは腰椎の逆 C側弯を形成し、腰椎の側屈と共に凹側へ棘突起が回旋する構造からPLが発生する。

4,脊柱はS字となる。
理由
脊柱の生理的弯曲を全体的にPLさせるとS字となる。これはL5PLからのカップリング効果とともに発生する。

上記の事から次のような特徴を持っている。
1,右腸骨PI
2,仙骨底右下がり(=仙骨尖左)
3,L5PL
4,脊柱S字

【R+の診断】
R+であるかどうかを判別するには、どのような方法があるのだろうか。NCでは5つの検査法を組み合わせて考える。

1,DT

患者を伏臥位の状態で両下肢の長短を検査。この検査を「ディアフィールド・テスト」と言う。ディアフィールド博士が患者の施術中にいったん席をはずし、戻ってみると患者の下肢の長さが変わっていたのを発見して、これを検査法として確立していった。このテストはカイロプラクティックの検査法としてはあまりにも有名。

この下肢の長短も「どこを指標とするか」が問題になるが、内果を指標とするのが一番正確だ、と言われているが、トムソンテクニックの教科書では、シューズを履かせて、「かかと」で検査する。アクチベーターメゾットも同様に、検査用の靴を販売しているが高価である。

結論として指標とする点は足関節、膝関節、股関節に疾患が無く、更に骨折の既往歴がなければ、「かかと」を取る。屈曲ー外反させて緩みを取ってから長短の検査を行う。ヒールテンションも見る事が出来るし、骨盤や股関節、大腰筋、梨状筋の緊張も同時に診る事が出来る。

伏臥位膝関節伸展位の状態で両下肢の長短を検査

この伏臥位の状態で、右足が短い。

更に伏臥位のまま膝関節屈曲位で 短かったはずの右足が左と同じ長さに揃うまたは長くなる

この状態をR+と言う。左右逆の状態はL+。

つまり、プラス(+)のリスティングは「短かった足が、屈曲させると長くなる。」と覚える。

解剖学的説明があまり無いのがトムソンテクニックだが、NCではこのディアフィールド・テスト(D.T)の説明が出来る。

R+のリスティングで伏臥位膝関節伸展位の時、右足がショートするのは右腸骨のPIによるもの。そして伏臥位膝関節屈曲位の時、右足が揃ったり、長くなったりするのは本来の足の長さは元々同じか、右足が先天的に長かった為で、膝を曲げることによって下肢の長短に、骨盤の変位による影響を受けないから。(下腿の長さしか比較できないけど….)

骨盤の変位が無くても、大腿骨の長さが先天的に違っていればリスティングにプラス(+)と出てしまう。つまり、このD.Tのみでプラス(+)リスティングと判断してしまうと
・腸骨のPI変位があるのか?
・ 左右の大腿骨長短に器質的な差があるのか?
判断できない。やはり、骨盤そのものの触診(静的、動的)が必要となる。

2,スタティック・パルペーション(静的触診法)
指で触診しながら歪みを確認する方法。関節の可動性等は無視し、静的な状態でどのような歪みが発生しているかを触診のみで検査する方法。
R+は
1,脊柱がS字側弯
2,骨盤は右腸骨がPI、仙骨尖が左に振っている。
3,L5がPL
の様相を示すので、これらについて触診する。
まず脊柱に、術者の右手(効き目が右の場合)第3指が棘突起に当たるようにして手掌全体でトレース。TH1から仙骨尖までのトレースを2,3回繰り返す。1回目のトレースは軽く身体の流れを診る(全体的なねじれ、生理的な弯曲の状態などを診る)様に「サッ」と行い、2回目のトレースは第1指が左の横突起、第4指が右の横突起に感じられるようにして椎骨のローテーションを診る。3回目は棘突起間の開きや狭小、椎骨の側屈など細かい状態を診て行く。
次に骨盤の触診。両ASISから腸骨稜にかけて第2,3指を中心に触診する。そのままPSISまで触診し両腸骨の状態がどのようになっているのかを診る。この時必ず左右差を比べる。
次に坐骨結節の天上に対しての高低。足方に対しての高低を触診する。腸骨のスタティックパルペーションをまとめると以下のようになる。

 

腸骨PI 腸骨AS
ASIS 触診しづらい 前方へ突出している
腸骨稜 頭方へ高い 足方へ低い
PSIS 足方へ下がっている 頭方へ上がっている
坐骨結節(対天上) 低い 高い
坐骨結節 足方へ下がっている 頭方へ上がっている

3,モーション・パルペーション(動的触診法)
モーション・パルペーションの基本的な考え方としては、変位した方向で関節がロックしていて、正常位に戻そうとすると”抵抗感”を生じる。と言うことになる。このロックしている方向を探す検査だと思う。
頚椎7個、胸椎12個、腰椎5個そして骨盤にすべて「モーション・パルペーション」を行っていたのではかなりの時間を要してしまう。そこでスタティック・パルペーションで変位の可能性が検出された箇所周辺の椎骨に、更に詳しく調べる為にモーション・パルペーションを行う。この方法のほうが実践的である。だが、治療経験の豊富な方ならお分かりだと思うが、スタティックな状態の検査でなんの反応も示さなかった椎骨が、実はフィクセーションを生じていた、なんてケースもある。

この事から実際の治療現場では各種(整形外科的、神経学的)検査や問診、スタティック・パルペーションなど総合的に診て”あやしい”箇所にモーションをかけるようにして行く事になると思う。

4,痛みの方向性(R+の痛みが出易い方向)
左腰方形筋の疲労性筋筋膜性の腰痛症
左側の腰椎椎間関節の炎症
左側椎間孔の狭小化
により、通常は左側に痛みが発生しやすい。右側、特に右下肢に出る場合は特殊なパターンなので通常のR+に対する施術は行えなず、トラクション系の施術が中心となる。

5,プレッシャーテクニック
変位方向を検出したら、それを矯正する方向に約90秒押圧をかけてみる。これによって他のD.T、モーションなどが改善されたら、そのリスティングは正解。改めて施術を行う。これら検査から、総合的に評価を下します。例えば一人の患者さんに対して:
R+にあてはまる⇒○
R+にあてはまらない⇒×
として1,DT                          ⇒×
2,スタティック・パルペーション(静的触診法)  ⇒○
3,モーション・パルペーション(動的触診法)   ⇒○
4,痛みの方向性(R+の痛みが出易い方向)  ⇒×
5,プレッシャーテクニック               ⇒×

この場合は×の数が多いのでR+とは判定しない。

更に、各検査法に信頼性のレベルを付ける。
例えば今現在aneeroのリスティング決定の際は、各検査法に次の信頼度を付けている(現在は違うかも 笑)。

1,DT                          ⇒信頼度1
2,スタティック・パルペーション(静的触診法)  ⇒信頼度4
3,モーション・パルペーション(動的触診法)   ⇒信頼度5
4,痛みの方向性(R+の痛みが出易い方向)  ⇒信頼度2
5,プレッシャーテクニック               ⇒信頼度3
すべてパーフェクトで15点。

つまり先ほどの○×方式ではR+の決定にいたらなかったものも

1,DT                          ⇒× ×(掛ける) 1 =0
2,スタティック・パルペーション(静的触診法)  ⇒○ × 4 =4
3,モーション・パルペーション(動的触診法)   ⇒○ × 5 =5
4,痛みの方向性(R+の痛みが出易い方向)  ⇒× × 2 =0
5,プレッシャーテクニック               ⇒× × 3 =0
で合計9点になる。

9/15点なので、60%の信頼度になり、グンとR+への決定度がUPする。

ところがL-の決定度が12点(信頼度80%)だったとする。
するとR+の信頼度60%に対してL-の信頼度80%のほうが上まるので、その患者さんは当然L-のリスティング決定となる。

治療家になりたての時は、触診技術の未熟さから

1,DT                          ⇒信頼度5
2,スタティック・パルペーション(静的触診法)  ⇒信頼度2
3,モーション・パルペーション(動的触診法)   ⇒信頼度2
4,痛みの方向性(R+の痛みが出易い方向)  ⇒信頼度3
5,プレッシャーテクニック               ⇒信頼度3
であったりする。

つまり目で見て簡単に判断のつく検査法を信頼せざるを得ない。
ところが経験を重ねてくると、手による触診技術が向上してくるので、誤差や他の影響に干渉しやすいDTに信頼をおかなくなる。これが初心者が患者さんを「壊す」原因の一つであったりする。

更にこれらの検査法以外にも、MMT(徒手筋力検査法)の応用や、筋肉の緊張、ROM、整形外科的検査法などの結果からリスティングを導きだしたりもする。
つまり、上記では5つの検査法だけだったが、8~10の検査法からリスティングを導き出すので、それだけ信頼度もアップすることになる。

■マイナスの歪みとは

通常マイナスのリスティングは疼痛回避性のものである事が多い。つまり現状で有痛かまたは過去に痛みがあったことを示している。その理由は、患側に大腰筋の緊張が診られるためである。この大腰筋の緊張によって、マイナスのリスティングは作られることが多い。
よってまず腸骨筋も含め、腰筋の解剖を考えてみる。

image

腸腰筋の解剖

腰筋
起始:L1~L5の横突起、TH12~L5の椎体と椎間板
停止:大腿骨小転子、恥骨隆起前縁

腸骨筋
起始:腸骨窩の上2/3、腸骨稜内唇、前仙腸靭帯、腸腰靭帯、仙骨底
停止:大腰筋腱外側部、小転子
腰筋は大腰筋と小腰筋に分かれ、小腰筋は恥骨隆起前縁に付着する。

【腸腰筋緊張⇒マイナスの骨盤】
下肢が立位にて固定されていたとすると
1,小腰筋の短縮による作用
起始:L1~L5の横突起、TH12~L5の椎体と椎間板
停止:恥骨隆起前縁

腸骨のPI、腰椎の側弯2,大腰筋の短縮による作用
起始:L1~L5の横突起、TH12~L5の椎体と椎間板
停止:大腿骨小転子

大腿骨の外旋(これに伴う腸骨のIN)、腰椎の側弯

3,腸骨筋の短縮による作用
起始:腸骨窩の上2/3、腸骨稜内唇、前仙腸靭帯、腸腰靭帯、仙骨底
停止:大腿骨小転子

腸骨のIN、仙骨底の前屈、大腿骨の外旋

これらの事からL-の場合
1,左腸骨PIIN
2,仙骨底左前屈
3,腰椎右凸側屈
4,仙骨尖左
(腸骨のPIにより、同側の仙結節、仙棘靭帯が緊張し、仙骨尖を牽引する。また、腰椎右凸弯に準じるように仙骨も動く為)
が発生する。

【大腰筋(腸骨筋も含めた)の緊張は何故起こるのか】
大腿骨の外旋は付随して腸骨のINを引き起こす。腸骨のIN、仙骨底の前屈の動きは仙腸関節前方での離開が発生する。これは仙腸関節の平面関節優位の状態になる。つまりレールを脱線することになる。でも脱線というのはとても強い力が働いたときに発生するもので、通常の生活では起こりにくい。レールを脱線しなければならないような状況とはどんな状況なのか?

次のようなケースが考えられるかと思う。
1,大腰筋を過剰に収縮させるような激しい運動を行った場合。
2,激しい痛みから逃げる姿勢を取る為に、疼痛回避として大腰筋を収縮させた場合。
3,仙腸靭帯がルーズ(ゆるい)為、レール状関節から脱線しやすい。
4,外部からの強い衝撃があったとき。(事故等)

【マイナス発生パターン】
<R+からR->
最も単純なパターン。
仮定:R+のリスティングが発生していたとする。

左側に椎間関節痛が発生

右側大腰筋の緊張

協調筋である腸骨筋も緊張し、Rマイナスに発展

■L3ユニット

【腰椎3番の特徴】
1,腰椎前弯の中心にある。
2,椎体の上面と下面が平行である。
3,脊柱起立筋群の上向線維と下降線維が付着する。
4,重力線が椎体の中心を通る。

が挙げられる。

「なぜL3なのか」それぞれを考えてみる

「1,腰椎前弯の中心にある。」

腰椎は5つあるので、3番はその中心となる。生理的弯曲においても腰椎前弯の頂点に位置するので、この腰椎3番の位置が前方に位置すると過前弯となり、後方に位置すると前弯減少となる。

late

「2,椎体の上面と下面が平行である。」
他の腰椎の特徴として、その前弯形成の要因でもある「椎体の前面が厚く、後面が薄い」構造になっている。これはR+の腰椎5番のPLでも説明した。

l5

ところがL3はこれが当てはまらず、上面と下面が平行になっている。この事から仙骨底の次に水平安定位を保つ為の「土台」と成りうる可能性と、腰椎部での回旋の中心と成りうる可能性をを持っていると考える。

「3,脊柱起立筋群の上向線維と下降線維が付着する。」

良く発達した椎弓をもち、横突起に付着する広背筋腸腰部線維の中継局として作用する一方、起始の最下部が第3腰椎棘突起にある棘筋の上向線維にとっても中継局として作用している。
この事からこれらの筋群に後方に引かれるので、リスティングとしてはPし易い椎骨といえる。

pvmis

「4,重力線が椎体の中心を通る。」

ファーガソン・ラインで良く知られているように、重力線がL3の椎体中心を通過する。ファーガソン・ラインとは、その垂線が仙骨岬角にかかるようであれば、上体のウェイトが腰椎の椎体を通り、しっかりと骨盤に乗っている状態と判断し「正常弯曲」と判断するものだ。これに対してL3椎体中心からの垂線が仙骨岬角よりはるか前方を通過しているような場合は「腰椎過前弯」となり、上体のウェイトが腰椎椎体よりも後方の椎間関節にかかっていることになり、本来ウェイトを支持する機能を持たない椎間関節関節面には炎症が生じる。これが椎間関節症候群と言われる症状へ発展する。

L3はその構造からも、体重をしっかりと支持するのに重要な腰椎といえる。

faga

以上の事から筋群に引かれ後方変位し易く、上下椎体が平行の為回旋し易く、変位した場合その影響が腰部全体へ及ぼすことから、「L3はサブラクセイションし易い」椎骨と言える。

L3サブラクセイション発生による影響
仮定:正常な腰椎の弯曲があるとして、L3PLが発生したとする。

①,L3PLはL3/4の左側とL2/3の右側に椎間関節の炎症が発生し易い。よってL3単独サブラクセイションの特徴としては、両側(左右)に痛みが出易い。このときL2/3の右側よりもL3/4の左側の炎症症状の方が強い場合が多い。
Left Pain>Right Pain
理由:生理的弯曲の状態においてPLが発生した場合、上半身の体重はL2/3レベルよりもL3/4レベルで強く受けとめるため。

mai

②,L3/4の左側の痛みからの疼痛回避のため、右側の大腰筋が収縮する。
理由:脊柱を輪切り(矢状面)で見たとき、後外方(背面外側)の痛みに対しては前外方の筋肉が緊張して、疼痛回避するのが自然。

mai1

③,このことにより脊柱全体像は「?(クエッションマーク)」型のディストーションを発生する。
L2から上の脊柱がPRに回旋。(急性症状等の激しい痛みからの疼痛回避では、腰椎前弯が消失し腰椎部は逆回旋でPLする。)
理由:大腰筋の緊張によりL2からL1がPRし、カップリング作用として胸椎部もPR方向に変位しやすくなる。この段階での胸椎部の右凸側弯は回旋側弯のみで、この状態が続くと(大腰筋の緊張が長期化すると)・・・・

mai2

④,R-のディストーションになる。
理由:右大腰筋の緊張により腰椎はC側弯を呈し、胸椎も回旋側弯だけではなく、側屈作用も強いられるようになり、胸腰部が中間位または伸展位にあるときは、腰椎は側屈側へ棘突起が回旋するため、L3(PL)以外の腰椎はPRと共に左凸の側弯を発生させる。(マイナス理論を参考に)

mai3L3はPL

 

まとめとして、L3の単独サブラクセイションの特徴としては
#両側(左右)に痛み
#「?(クエッションマーク)」型のディストーションを発生
このケースでのR-は(脊柱、骨盤はR-でL3のみPL)、単純にR-をマニュプレートするわけには行かない。その時の状況によって矯正する箇所の順番がある。症状に対する既往歴、ROM、現在の痛みの位置、などを確認してから矯正の順番を決めなくてはならない。

<その1>
④の状態で左(L3/4レベル)に痛みがある場合。
初回はL3PLのADJ。次回左の痛みが無く、ROMもFULLでR-の骨盤が残っているようであれば、R-をADJ。
ADJの順番:L3PL→R-
初回時にR-をADJしてはならない。
理由:R-のADJはせっかくL3PLによる左側の痛みから逃げている身体を基に戻す方向になるから。左の痛みが悪化する可能性大。

<その2>
④の状態で右の痛み(R大腰筋の筋膜痛)の場合。
初回はR-のADJのみ。L3は次回ADJがベター。L3PLをADJする場合はオーバーADJにならないように注意。
ADJの順番:R-→L3PL
初回時にL3PLをはじめにADJしてはならない。
理由:L3PLのADJはL3が回旋しやすいその特性から、オーバーADJになりやすくPLを戻す方向は右側の痛みを誘発し易い。

<その3>
④の状態で両側に痛みがある場合
左右どちらの痛みが強いかを問診し、発生機序、ROMなどから判断し左の痛みが強い場合<その1>を選択。右の痛みが強い場合<その2>を選択。

【R+とL3の複合サブラクセイション】
仮定:正常な生理的弯曲でR+のディストーションがあるとする。更にL3のPRが発生。

①,R+がもともと存在していて、更にL3PRが発生した場合は、腰椎全体がPLに対してL3PRなのでL2/3左側とL3/4右側に椎間関節の炎症症状が強く現れる。
理由:述べるまでも無い。骨模型で見れば一目瞭然。
このときもL3単独サブラクセイションと同じように、下方のL3/4右側の痛みが強く出たと仮定する。

l31

②,L3/4右側の痛みから逃げようとして、左側大腰筋が緊張する。
理由:後外側の痛みですから、前左方の筋肉が緊張して疼痛回避する。(マイナスの理論参考)

l32

③,左大腰筋の緊張によりL-のディストーションとなる。
R+時の左腰方形筋による側屈は腰椎のPLによる回旋側弯で補っていましたが、大腰筋の緊張は更なる側屈を要求されるので、胸椎も左側屈により右凸の側弯を形成する。しかし大腰筋の激しい緊張により、腰椎が後弯化した場合は逆回旋が生じ腰椎はPRする。

l33L3はPR

まとめ
R+のディストーションがあり、更にL3のPRが発生した場合、腰椎全体のPLに対してL3PRが「カウンター」となるため椎間関節の炎症症状は強く現れる。(「ねじれ」が強い)
R+とL3PRの複合サブラクセイションによるL-の状態では、やはりADJの順番がある。患者さんが上記①~③のどの段階にあるのかを見極め、更に問診、ROMなどを加味しながらADJの順番を決定する。

<その1>
右のL3/4椎間関節周辺に痛みが強くある場合。
初回はL3PRのみをADJする。次回痛みが無く、ROM FULLの場合L-をADJする。
ADJの順番:L3PR→L-
初回にL-をADJしてはならない。
理由:L-の形は右の痛みから疼痛回避している状態なので、L-をADJすることによって右の痛みを更に悪化させる可能性がある。

<その2>
左側に痛みがある場合。
初回はL-のADJのみ。L3は次回ADJがベター。L3PRをADJする場合はオーバーADJにならないように注意。
ADJの順番:L-→L3PR
初回時にL3PRをはじめにADJしてはならない。
理由:L3PRのADJはL3が回旋しやすいその特性から、オーバーADJになりやすくPLを戻す方向は左側の痛みを誘発し易い。L-のみのADJは左の痛みに対して効果的であり、その治療反応が遅かったとしても、症状を悪化させる可能性は極めて低い。

<その3>
R+とL3PRの複合サブラクセイションによるL-のの状態で両側に痛みがある場合
左右どちらの痛みが強いかを問診し、発生機序、ROMなどから判断し右の痛みが強い場合<その1>を選択。左の痛みが強い場合<その2>を選択。
ちなみにこのR+でL3PRのディストーションは「右利きでゴルフ好き」の方に発生し易い。機会があったら確認してみると良い。