身体の使い方によって力が出にくくなるなる事は、誰もが経験している事だと思います。武術の世界ではこれを上手く使い、相手の体勢を崩し無力化したりします。
10人10色とはよく言ったもので、生まれつきなのか成長の過程でそうなったのかは解りませんが、人によって様々な癖があります。
重心のかけ方に注目し、重心が前方か?後方か?。更に重心のかけかたが内側か?外側か?で身体特性を4タイプに分け、それぞれの特性に合った身体の使い方を提唱しているのが4スタンス理論です(まずこの前提に注意)。
詳しくは以下のリンクで
廣戸聡一式4スタンス理論とその見分け方 体に合った運動法で運動神経アップ!☆全力教室
この理論で注意しなければならないのは、まず静的な状態での重心のかけ方に注目している点です。運動の多くは動的な状態で、起立姿勢のまま終始する事は少ないように思います。起立時に前方荷重でも、前屈した時に後方荷重になる人もいます。
更に左右差についてもあまり言及されておりません。右足は前方荷重で、左足は後方荷重という人もいます。重心動揺計を使えばわかるのですが、中心に重心が集まる人もいます。
重心と体癖に関して、我々施術家が「ピンッ」と真っ先に頭に浮かぶのは野口整体です(若い施術家さんは浮かばないかも・・年だな)。
天才、野口晴哉先生が創始した整体法で、その中で体量配分計という物を開発しています。これは足の裏に加わる力を3箇所(拇指、小指、踵)に分割し、左右同時に計6箇所測定する体重計で、体癖を分析する際には
・立位
・挙上動作
・左右側屈
・左右回旋
・前後屈
・しゃがむ
・左右片足
でそれぞれ6箇所を測定します。昭和20年台にコレですよ。すごすぎます。リスペクト。で、この結果から体癖を12種に分けます。そこからバランスを整える方法を指南するわけです。
静的な状態からの動き始めに関しては、4スタンス理論による身体の使い方は正解だと思います。ただ、一旦姿勢が変化してからの動きに関しては、必ずしも静的特性の評価があてはまるわけでは無いと思います。
またある運動に対して、解剖学的、運動力学的等の見地から効率の良い動き方と言うものがあると思います。まあ多くの場合、トップアスリートの動きを分析した後追い科学理論でしか無かったりするのですが・・・。この効率のよい動きと、自身の身体特性が一致しなかった場合は?。それなりの競技成績で満足しろと言う事でしょうか?
何も野口整体が優れて、4スタンス理論が稚拙だと言ってるわけではありません。野口整体の体癖分類に関しても「?」と思える部分は多々ありますし、私自身のスポーツに4スタンス理論を応用しています。
ごく個人的な見解ですが、体癖があるのであれば、それをニュートラルな状態に近づけ、そこから運動に合った効率的な身体操法を目指すべきだと思います。もちろん現在、特定の運動に合った効率的な身体操法(≒後追い科学理論、≒教科書的なテクニック)が間違っていないとは限りません。水泳なども泳ぎ方が時代によって大きく変化しました。
その教科書は本当に正しいのか? という疑いの目を持ちつつ、どのような理論も妄信的かつ闇雲に鵜呑みにしないほうが良いのでは?
と言うお話しです。