めまい/グルグル?フラフラ?

意外に思うかもしれませんが、個人的にはカイロプラクティックが一番得意としている疾患は頭痛だと思います。と言いながらも、頭痛のページに書きましたが、群発性頭痛の酷い状態などは御手上げになる場合があるのも事実ですが。。

PHOTO by:merec0

同様に、意外にもカイロプラクティックで良い反応が得られる疾患がめまいだと思います。これは決して簡単と言う訳ではありません。めまいの原因が脳に有る場合、一歩間違うと命に関わる事もありますので、必ず脳神経外科、耳鼻科等で診察を受けていただき、問題無しと診断されたにも関わらずなかなか改善しない場合のみ、施術を受けるようにしています。

■原因不明のめまいに勝つヒント

平衡障害と言うと、耳や脳の疾患を思い浮かべる訳ですが、人は耳からの平衡覚入力だけではなく、視覚からの入力と筋、靭帯に仕組まれたセンサーからの入力を統合して平衡を維持しています。めまいを考える場合、これら耳、眼以外からの入力を無視する訳には行きません。
人は水平を維持する為に身体を歪ませて補正しますが、その基盤となる椎骨は筋の走向、関節の形状により限定されます。この水平安定器とも言える椎骨が何らかの理由で変位することによって、耳、眼等からの入力された平衡覚の統合に支障をきたし、平衡感覚の異常が発生する場合があります。私は水平センサーとなる椎骨の中でも、上位頚椎の変位による求心信号異常が平衡感覚の統合に問題をきたすのではないかと疑っています。そこで椎骨(上位頚椎に限定するわけではないですが)の変位を調整し、左右センサーからの入力を均等化させる事によって、様々な施術を渡り歩いて、取りきれなかっためまいに幾つか勝利した事があります。

■脳が原因のめまい

頭痛と同様に、めまいの原因が重篤な脳疾患である場合があります。このあたりは頭痛における脳疾患の症状とほぼ同じで、脳梗塞や脳出血によって平衡感覚を司る経路に障害を受ければ、めまいが起こります。めまいとともに意識がなくなったり、口がもつれたり、片側の手足が麻痺したり、しびれたり、目の焦点が合わなくなったり、物が二重に見えたりなどの症状が現れます。

障害を受けた部位が脳幹の前庭神経核であった場合、グルグルと回転性のめまいが発生し、大脳皮質障害の場合、めまいはあったとしても軽度である場合が多いようです。対して小脳に向かう血管が出血した場合、意識がハッキリしているにもかかわらず、はげしい頭痛と嘔吐、立位・歩行障害(フラフラする)などの症状が出ます。意識がハッキリしている状態で、めまいとフラフラするような平衡障害だけで、頭痛がなければ、小脳梗塞を疑います。

梗塞まで行かなくても、小脳へ向かう椎骨動脈(頚椎6番から1番まで左右の横突孔内を通っている)の血流が悪くなる事でめまいを起こしたり、意識が消失したり、上肢のしびれ,四肢末端の知覚障害が出る場合があります。小脳梗塞の症状と同様に、グルグルもフラフラも出る事になります。一般的に一過性脳虚血症と言われ、急な回旋、屈伸展などで症状が出ます。もともと椎骨動脈が細い、高血圧からくる動脈硬化等で動脈が狭窄してる、加齢による頚椎の変形による動脈狭窄などがある人に発生しやすいようです。

私の妻も若い頃、一過性脳虚血症で良く倒れてました。電車の中で意識を失い、医務室のような所に担ぎ込まれ、迎えに行った事もあります。もちろん脳神経科で診察を受け、一過性脳虚血症との診断も受けました。当時は内服薬などをもらっていたと思いますが、突然起こる意識消失はなくなりませんでした。ですがここ10年くらいはめまいも意識消失もありません。動脈硬化の因子による頚椎へのアジャストは危険ですが、若年層の一過性脳虚血症の場合、上位頚椎変位やストレートネックによる椎骨動脈の伸張によって、潜在的に動脈径が小さくなり、ふとした頚椎の急な動作が引き金となって虚血を起こす可能性は十分にあります。私は妻にこれらに対するカイロプラクティック施術を行いました。その施術が全ての勝因とは思いませんが、結果は前途の通りです。椎骨脳底動脈循環不全と聞けば、即時的にカイロプラクティック禁忌とされる方もおりますが、年齢や体格も考慮したうえで、血圧検査、MRI、MRA等で問題無ければ、内容によってはカイロプラクティックで良くなる可能性はあります。

また「めまい、はげしい頭痛、吐き気の3点セットは脳神経外科へ」と呪文のように言われている先生がおりますように、めまいに関して上記のような症状が見られる場合、MRIで脳梗塞、MRAで脳の血管の状態をほぼ完璧に診断出来ますので、早急に脳神経外科の診察を受ける事をお勧めします。その上で重篤な問題が見られなかった場合は、カイロプラクティックの選択もご検討下さい。

■耳が原因のめまい

耳の中にはカタツムリのような蝸牛と、X,Y,Z軸に沿って半輪が連なる三半規管、これらの間に前庭があり、これらを内耳と呼んでいます。蝸牛は音を伝え、三半規管は各軸による回転運動を感知します。前庭は重力、直線加速などを感知します。
耳が原因の場合、耳鳴りや難聴、耳閉感なども併発すると言われています。これは上記のように内耳の構造が聴覚とともに平衡感覚を司るからです。しかしながらグルグルめまい、耳鳴り、難聴がセットで有名(?)なメニエルなども、水腫が蝸牛のみでおこれば聴覚異常のみで平衡覚に異常は起こらず、逆に三半規管のみで水腫がおこれば、めまいのみで聴覚異常は起こりません。よって聴覚に異常が無いからといって、耳からくるめまいの可能性を除外する事は出来ません。メニエル症の場合、内リンパ水腫の原因は完全には解かっていませんが、強いストレスが何らかの影響を与えているようです。
頭位を変えた時のみに出るめまいなのに「メニエルと診断されました」と訴えて来院される方が居たり、一時はグルグルめまいがあれば何でもカンでもメニエルと診断されてたように感じます。よって正直なところ当方が施術させて頂いた方で、あるお1人の方を除き、どの方が本当のメニエルなのか未だに「?」な状態ではあります。

当方が施術した頭位変更に伴うグルグルめまいの殆どは、良性発作性めまい症ではないかと思っています。耳由来のめまいですが、難聴、耳鳴りは出ません。これは前庭にある耳石がはがれ、半規管に入る事によって起こるめまいで、後半規管での発症が多く、この場合エプレイ法による手技が非常に効果的で、当方もめまい、眼震が起こる姿勢から半規管の構造を想像して、カイロプラクティック・ハイローテーブルの機能を上手く利用しながら施術していました。これをカイロプラクティックと呼んで良いのかどうかw しかし以前から前庭に戻った耳石はその後どうなるのかが疑問でした。今回記事を書くにあたり調べた結果、分解、吸収されるようです。安心しました。

参考:ウィキペディア


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