以前スイマーズショルダーについて記事を書きました。
意外かもしれませんが、水泳で痛める箇所として肩の次に多いのが腰だと思います。その次が膝ですかね。
腰はバタフライ、平泳ぎ、ビート板を持ったキック練習で痛めやすいです。
これらに共通する姿勢としては
「顔を前に上げて呼吸をする」
と言う点です。
顔を水に着けて浮いている状態では、重力は浮力によって相殺されていますから、体重計を下に置けばゼロを示します。
ところが、顔を上げて頭を水上に出せば、重さが生じます。その重さの分身体は沈むのです。
頭を水上に出せば浮心を支点に脚が沈みます。
泳いでる状態では揚力が発生しますので、極端に沈む事はありませんが、初心
者で泳速が遅い場合などは、沈んでいる方を見かけます。
では頭が上がっても、キックで脚を浮かせるとどうなるでしょうか?
初心者は呼吸動作の無駄が多かったり、腹部内部コアが弱かったり、上手く使え
なかったりする事で腰が沈みます。
横から見れば腰を反ったような姿勢になる訳です。これにより腰部椎間関節が
圧迫を受けやすい状態になり、椎間孔は狭小化します。更に腰背部筋群は緊張
します。
まとめると
頭が上がる→
重力がプラスとなり→
腰が反り→
関節、神経の出口、筋肉に負担がかかり→
腰痛が発生する訳です。
ではこれら“頭が上がる”泳ぎで腰痛を予防するにはどうしたら良いのでしょ
うか?
「体幹を鍛える」
と言うのは、答えとして単純過ぎます。力よりも技術を高める事が重要です。
頭を上げると言う行為自体は、あまり推進力にはなりません。いわば
「無駄な行為」
な訳です。クロールでさえ、短距離であれば無駄な呼吸動作を省き、ノーブレス
で泳ぐのですから。
では実際にはどのような技術を身に付ける必要があるのでしょうか?
まずは吸気時、頭が上がった時の高さを出来るだけ低く抑えましょう。頭が高く
上がれば上がるほど、腰は沈みます。口は半分水中でも吸気は可能です。
次に頭が上がっている時間を短く抑えましょう。重力に晒されている時間が長
ければ長いほど、身体は沈みます。出来るだけ素早く呼吸するようにしましょう。
ビート板を持ってキックする場合にも、吸気時以外はゴーグルが水中に沈む程度
の位置まで頭を低くします。
この頭を低く、素早くはプールでなくてもお風呂場で練習できます。より長く水泳を楽しむために、是非とも身につけて下さい。
次は体幹を鍛える方法です。
体幹を鍛えると言えば腹筋、背筋と考えがちですが、大胆に言えば腹筋のみでか
まいません。腰背部の筋は陸上で立位を保つ際に使われています。背と腹の筋バランスで言えば、圧倒的に腹側のマイナス状態なのです。
腹筋運動と言えば、仰向けで膝を曲げた状態での身体起こしをイメージしますが腹筋は最下層の腹横筋から、内外腹斜筋、腹直筋とで鍛え方が違います。
特に腹筋の中でも、最下層の腹横筋は腰痛防止には非常に重要な筋肉です。腹横筋と横隔膜とで腹圧を形成し、これが腰部の「柱」となり、腰椎、椎間板等への負担を減らしてくれます。
この腹横筋は通常の腹筋運動では効果的に鍛えられません。
まずはあの無敗の柔術家、ヒクソンの動画1:35辺りからご覧下さい。究極です。
ヒクソンのようにまで出来なくても、自力で凹ませる、逆に凸すを繰り返す事で
腹横筋と横隔膜を鍛える事が出来ます。
場所を選ぶ必要も無く、手軽に出来る運動ですのでオススメです。
ちなみに水中では胸式呼吸、特に呼気が困難となります。
吸気は肋骨間の筋を収縮させる事で可能ですが、通常呼気は重力により肋骨が自然に下がる事で行われています。水中では重力が相殺されてしまいますので、呼気が困難となる訳です。
よって水中では自然と複式呼吸優位なるのですが、水泳が苦手と言う方の中には
この呼吸の切替が上手くゆかずに
「息苦しさ」
を感じ、それが恐怖になってしまう方がいます。
水泳は吸うよりも、呼けないを理解し、呼気から練習しましょう。
口から吐く
「ブクブク、パッ」
から鼻から吐いて行き、最後水上に上がった瞬間口から爆発的に吐く
「ンー、パッ」
を覚えれば良いかと思います。
一般的には水泳は腰痛に良いとされていますが、泳ぎ方次第では腰を痛めるので
注意して楽しんで下さい。