カイロプラクティックの効果

一般的なイメージとして、カイロプラクティックといえば腰痛です。

腰痛の多くは、骨盤、腰椎部の関節可動性減少により、椎間関節、筋、靭帯にストレスがかかり痛みが発生するパターンが多く、カイロプラクティック矯正手技はこれら関節可動性を回復する事が出きるからだと思います。

更には椎間板に対する限局したカイロプラクティック牽引技術も、従来の整形外科で行われる機械牽引療法との差別化を知らしめました。

他の運動器疾患に関しても同様に、カイロプラクティック矯正手技の効果は非常に高いです。

身体のお悩み別解説

しかし、カイロプラクティックの効果はそれだけではありません。

■自己治癒力

生きた人間には自己治癒力があります。

それは生命の定義に見られる、生命力によるものです。
1.外界の環境の変化に対して、自分を一定の状態に保つ(恒常性 homeostasis)。
2. 物質を分解したり合成したりして、エネルギーを消費、移動または貯蓄する(代謝 metabolism)能力がある。
3.自分と同じものを作る(複製 replication)能力がある。

多少のキズであれば、「恒常性」を維持するために、「代謝」させながら、損傷箇所を修復する為に細胞を「複製」します。絆創膏が治すわけでも、薬が治すわけでもなく、人間が本来持っている力によって治るのです。生命力が無ければ、いくら薬を塗ろうが、キズ口を縫い合わせようが治りません。

■古典的カイロプラクティックでは

カイロプラクティックでは、この自己治癒力は脳幹にあり、神経によって伝達されると考えていました。そして背骨の歪みが神経を圧迫し、自己治癒力を妨げている状態を、サブラクセーションと名づけました。このサブラクセーションを取り除くことで、自己治癒力が回復し、病気が治ると言うのが古のカイロプラクティック哲学です。

しかしiPS細胞等、再生医療の現場で見られるように、脳幹、神経が無くても細胞は複製されます。

つまり一つ一つの細胞に生命力があり、生命体と呼べるわけです。そこにはサブラクセーションの介在する余地は見当たりません。

■自律神経系に対するカイロプラクティックの効果

残念ながら、病院で検査をしても、その原因すらはきっりしない疾患は沢山あります。

このような疾患に対して、カイロプラクティックが効果的な場合が多々あります。それは何故でしょう?

“澄んだ水面に小石を投げると、その波紋は全体に広がる”

「なんだそりゃ」とお思いでしょうが、サブラクセーションの考えかたはこの通りです
重力にさらされている地球人にとっては、脊柱のどの椎骨でも(下腿骨も)サブラクセーション(歪み)を起すとその影響は身体全体に波紋のように広がるのです。

人間の身体は良く出来たのもで、一次的原因による不具合を代償しようとする補正能力があります。
例えば、骨盤が右下がりに歪んだとします。このままでは脊柱が右に傾いてしまいますので、これを補正しようと自然に左の腰部筋肉を収縮させ、これにより腰椎部に歪みが出ます。この腰部の歪みを補正しようとして、胸椎、頚椎、頭蓋と歪みが広がります。

これは日常の生活の中でも自然に行っているものです。

(片足立ち時の脊柱)

脊髄は脊柱管を通り、椎骨間にある孔を通り脊髄神経となって、各組織に分布します。
また、椎間孔を出てすぐに枝分かれし、それらが集まって脊柱の両脇に自律神経管を形成しています。

これらの事から、脊椎の歪みは(特にTh1~L2)、この自律神経系(交感神経)になんらかの影響を及ぼし、それが臓器等の疾患につながる場合があるのです。
それをまとめたのが、カイロプラクティック院等で良く見る次の表です。

脊椎骨 影響部分 症状
頚椎1 頭部への血液供給・下垂体・頭髪
脳・内耳・中耳・交感神経支配
頭蓋骨・頭皮
頭痛 神経過敏 不眠症 高血圧 てんかん
慢性疲労 めまい 偏頭痛 精神不安定
頚椎2 眼・視神経・聴覚神経・副鼻洞
舌・前頭骨・乳様突起
副鼻クウ炎 アレルギー 難聴 眼の障害
耳痛 気絶発作
頚椎3 外耳・鼻・三叉神経・顔面骨・歯 神経痛 神経炎 にきび 湿疹 吹き出物
頚椎4 鼻・唇・口・耳管 鼻風邪 聴覚減少 花粉症
頚椎5 声帯・頭部の腺・咽頭 咽頭炎 声のかれ 喉の症状 風邪 せき
化膿性扁桃腺 咽の痛み
頚椎6 頚部の筋肉・肩・扁桃腺 首のこり 上腕痛 扁桃腺炎
頚椎7 甲状腺・肩の関節包・肘 五十肩 風邪 甲状腺のいろいろな症状
胸椎1 前腕部・手・手首・指・食道・気管 喘息 せき 呼吸困難 息切れ 前腕痛
手の痛み
胸椎2 心臓・冠状動脈・ 心臓機能障害 胸の障害
胸椎3 肺・気管支・胸膜・胸部・乳腺 気管支炎 肋膜炎 肺炎 流行性感冒
インフルエンザ
胸椎4 胆のう・総胆管 胆のう諸症状 黄疸 帯状疱疹
胸椎5 肝臓・腹腔神経そう・血管 肝臓障害 熱 低血圧症 貧血 循環不全
関節炎
胸椎6 神経性胃炎 胃のもたれ 胸焼け 消化不良
胸椎7 膵臓・十二指腸・ランケンハンス島 潰瘍 糖尿病 胃炎
胸椎8 脾臓・横隔膜 しゃっくり 抵抗力減退
胸椎9 副腎 蕁麻疹 アレルギー
胸椎10 腎臓 腎臓障害 動脈硬化 慢性疲労 腎炎
腎盂炎
胸椎11 腎臓・尿道・子宮 にきび等の皮膚の症状 吹き出物 湿疹
尿道炎
胸椎12 小腸・リンパ腺循環・卵管 リウマチ 腹部膨満感 不妊症
腰椎1 大腸・結腸・そけい部 便秘 腸炎 赤痢 下痢 脱腸
腰椎2 虫垂・腹部・大腿部・盲腸 呼吸困難 静脈瘤 虫垂炎 筋肉の痙攣
腰椎3 生殖器・子宮・膀胱・膝・精巣
卵巣
膀胱疾患 生理痛 生理不順 流産 夜尿症
インポテンツ 更年期障害 膝疾患
腰椎4 前立腺・腰部の筋肉・坐骨神経 坐骨神経痛 腰痛症 排尿疾患 腰の痛み
背部の痛み
腰椎5 足首・足・下腿部・足指・踵
足底
足の冷え 足首のはれ 足のつれ、痛み
足の循環異常 脚部の筋力低下
仙椎 寛骨・臀部・股関節 仙腸部の症状 脊椎の湾曲 下肢の長短
足の痙攣
尾椎 直腸・肛門部 痔疾患 座った時の痛み

参考: 背部痛とカイロプラクティック

この交感神経はアクセルのようなもので、これに対する副交感神経はブレーキのようなものです。カイロプラクティックでは、アクセルが弱ければ胸椎部に問題を探し、ブレーキが効いていないようであれば、頚椎、骨盤部に問題を探したりします。

このようにカイロプラクティックは運動器疾患だけではなく、様々な疾患を治す手助けが出きる可能性があります。もちろん厳密にはカイロプラクティックが治すのでは無く、自己治癒力によって治る訳ですが。


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